河川工学者三代は川をどう見てきたのか

河川工学者三代は川をどう見てきたのか
安藝皎一、高橋裕、大熊孝と近代河川行政一五〇年
篠原修 著
定価3,780円 (税込)

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解説

技術官僚から政策官僚となった安藝皎一、歴史家・論説家にして土木のスポークスマンの高橋裕、そして市民の河川工学者 大熊孝とそれぞれ立ち位置は異なるが、河川改修史に重点を置いた歴史的現場的な視点をもちつづけ、明治以降の近代河川行政に批判的な立場をとった点で共通する。希代の三人の河川工学者を通じて、近代河川行政の目標と到達点、そして環境や景観、脱ダムや河川整備計画への住民参加など、今後の課題を明瞭かつリアルに描く本書は技術者、研究者、行政関係者はもちろん、河川に関心をもつ人にとって必読の書である。

 

著者

篠原修(しのはらおさむ)著。1945年生まれ。東京大学工学部土木工学科卒。東京大学および政策研究大学院大学名誉教授。工学博士。GS(グラウンドスケープ)デザイン会議共同代表。エンジニア・アーキテクト協会会長。著書『土木造形家百年の仕事』(1999年、新潮社、土木学会出版文化賞受賞)『土木デザイン論』(2003年、東京大学出版会、土木学会出版文化賞受賞)『都市の水辺をデザインする』(編共著、2005年、彰国社)『ピカソを超える者は 評伝 鈴木忠義と景観工学の誕生』(2008年、技報堂出版)『内藤廣と東大景観研の十五年』(2013年、鹿島出版会)ほか多数。
※GSデザイン会議=全国各地の総合的なまちづくりや空間デザインへの要請に応えるため、分野を超えた専門家間の協働体制の確立を目指す。2005年5月発足。会員150名。

目次

序章 川との付き合い方、議論のポイント
第1章 内務省土木局の河川行政
第2章 安藝皎一の登場
第3章 TVAと河水統制事業、宮本武之輔
■復興・高度成長と河川
第4章 戦後大水害の時代(昭和二〇~三四年)
第5章 高橋裕と安藝皎一の出会い
第6章 水害論争
第7章 教授 高橋裕
第8章 高度成長時代の河川行政(Ⅰ)
第9章 河川工学者・大熊孝の出発
第10章 大熊と宮村忠、虫明功臣 三人の出会い
第11章 高度成長時代の河川行政(Ⅱ)
■環境・景観・自治の河川へ
第12章 大熊孝、長岡へ
第13章 高橋裕の土木学会
第14章 市民工学者・大熊孝
第15章 環境・景観対応の河川行政
第16章 河川行政、残された課題